
「ゆづりは」のように暮らす トップへ戻る


福島県と山形県の境界に位置する旧耶麻郡熱塩加納村(現喜多方市)の北に黒岩地区はある。福島県の地図帳で「黒岩」の名前をかろうじて見つけることはできるが、辿り着くための道らしき線は見えない。黒岩は、昭和三十〜四十年代には約三十世帯が主として炭焼きで生計を立てて暮らしていたという地区である。今でも冬の積雪が三メートル近くに達する。人口流出が年々進み、現在は住民が八名。一人暮らしのお年寄り一名と夫婦二組の四名は全員七十〜八十代。そして都会から移住してきた私達が暮らしている。
平成四年に低農薬有機米の生産に取り組んでいた農家の小林芳正さんとの出会いがきっかけで黒岩地区を知り「黒岩にすっかりハマってしまった」。翌年の平成五年には意気投合した二人の芸術家との共同生活がスタートした。
「ゆづりは」は木に思うと書く。 「ゆづりは」はユズリハ科の常緑高木。艶のある長楕円形の葉で初夏には黄緑色の小さな花をつける。新葉が出てから古い葉が落ちるので、新旧相ゆずるという縁起を祝って新年の飾りものに使われることもある。工房の名前をゆづりはとしたのは「黒岩だったから」。 数百年も受け継がれてきた黒岩集落から生活の知恵を学び、次世代に伝えていく文化継承の形は芸術の分野にも通じているようだ。
「ゆづりはのように、自然の摂理の中で惜しみなく押しつけることなく今を伝え、新しい世代へ繋げていく活動を続けていきたいと思っている。」
四季を体感し、自然の中で生かされていることを実感し、無心で制作に夢中になる暮らしがここにある。
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